ハロヲタの僕がPerfumeを観る。

PerfumePerfumeSEVENTH HEAVEN イイ気分♪〜」 LIQUIDROOM
リキッドルームに着いたら、予想よりも客層が違った。なんとなくごつい人が多い気がした、ハローの現場に比べて。
2Fでごった返して待っていたら、いつの間にか番号順に呼び出しが始まっていた。僕はと言えば700番台だから、ゆったり待ってから入場。人がいっぱいだが、押し合いへし合いというほどでもない。ライブ始まったらどうなるんだろうと思う。
Perfumeにおける身体性って何?Perfumeってアイドルなのか?ってことを確かめたい。もちろん、曲が好きでなけりゃ来ないのだが。


20分ほどおしてライブ開演。暗くなったら一気に前に圧力がかかるが、モッシュする領域は限られていて、周辺部は比較的穏やかに見ていられる。いろんな観客、いろんな楽しみ方。
「コンピュータードライビング」でMIXとPPPHをしているファンあり。コールの入れ方なんかもハロの文化とそんなに変わらないが、歓声に違和感がある。ハローの現場のほうが、歓声がバカっぽい気がする。Perfumeのほうはスマートすぎるというか、かっこいいと思っている感じがする。ここは異文化。どうにも馴染めなかった。
さて、Perfumeの曲が好きな僕は、その無機質な、機械的なイメージと、ライブ空間で現れざるを得ない身体性ってのは矛盾するんではないか、Perfumeがライブをする意味って何なんだ、という机上の空論をゴロゴロさせていたのだが、では実際にはどうだったかというと。
むしろ僕は過剰な人間性をそこに見た。振り付けも必ずしも機械的ではないし、なによりもMCの力。
あーちゃんは奔放だ。「Perfumeのライブで窒息死するファンが出たら、それはそれでおいしい」と言い放ったり、ライブ中に話していたファンを指差して怒ったり、客席の掟氏の悪口を言ったり(その後ろには宇多丸氏もいたような)。そこにはおすましのお人形じゃなくて、人間がいた。満員のファンを目にして泣いてしまうあーちゃんの涙は「本物」で、しゃべることは「本音」だった。そういう、彼女達の主体性というのは他にも見られた。「ジェニーはご機嫌ななめ」での「あーちゃんコール」を統一させたいと、観客に練習させた後、最終的にはそれを「強制です」としてしまう。そうした、彼女達自身の「自由さ」というのはPerfumeの大きな魅力であろうと思う。
「近未来テクノポップユニット」ということをうまく隠れ蓑にして、というと言い方が悪いか、ともかく、Perfumeはうまくアイドルであると思う。僕はついこの間見た松浦亜弥との類似を指摘したい。どちらも、うまくアイドルなのだ。
①歌手・楽曲の魅力だけで十分な存在である。
Perfume松浦亜弥も、この点においてアイドルではない、という言い方が十分にできる。CDだけ聞いただけなら、「ポリリズム」も「ダブルレインボウ」もアイドルと判断されないかもしれない。それにしても、「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル 」は圧巻。
②性的に欲望されにくい。
過去には水着写真集を何冊も出している松浦だが、ここ最近の松浦のイメージ戦略により、性的に松浦を消費するヲタは減少しているだろうと思われる。Perfumeは最近のことしか知らないが、水着とは無縁に思われるけれども、どうなんでしょう、知ってる人教えてください。ともかく、セクシーだとか、エロだとか、少なくとも3部作以降のイメージでは性的なものが極力排除されているように思われる。
③率直にものを言う。
Perfume広島弁は楽曲との効果的なギャップを生む。重要なことは、それが本音であると思わされるようなMCであるがゆえに、僕らのメタ化する運動をそこで停止させられるということ。あるいは少なくともそうしたメタ化する運動への理解があること。つまり、それ以上「ホントの彼女」を探ろうという運動を止めてくれることによって、僕らは彼女達の世界に不安なく安住できるというわけだ。(それでもまた、「ほんとはー?」とか言い出しちゃう奴もいるんだけど。)
④かわいい。
中性的にかわいいということ。女性ファンが多いというのはそういうことであろうと思う。男性ファンにとっても、それは性的な消費ではないのではないか。いやもちろんいろいろなファンはいるけれど。確かにあーちゃんはかわいい。それは人間的な魅力。


そんなわけで、僕はPerfumeがアイドルのひとつの理想型であるということは言えると思う。一つ感じたのは、距離感の問題で、Perfumeはライブハウス向きのグループだとは思った。それ以上大きなところだと、今回のライブのような幸福感は味わえないかもしれない。ただそうなると、毎回チケット争奪戦が激しくなってしまう。それにしても今回のヤフオクでの高騰は異常だったと思う。そういうバブルがはじけた後にどれだけ安定した人気になるかが重要だと思う。来年ファンクラブができるとのことだが、どういった運営がなされるのか注目したい。


アイドルを守るひとつの方法。アイドルに「人間」を求める。アイドルに「性」を求めない。