岡山〜四国 地方アイドル巡礼記 (岡山編)

8月3日〜4日にかけての一人旅。まずは岡山編。
夜行バスで早朝に岡山に到着。マックで朝食をとってから、金光へ向かう。金光駅岡山駅から西へ電車で30分ほどのところにある。目的は新宗教金光教の施設および周辺の町並みを見ることだ。金光教はあまり有名ではないかもしれないが、天理教と並んで、新宗教と分類される宗教の中では歴史が古い(立教は1859年)。もとは金光町という、宗教名をとった町名であったが、2006年に合併して浅口市となった。
金光教の施設に関するレポとしては、以下のものが分かりやすい。
るるぶ新宗教 第一回 金光教の巻」http://d.hatena.ne.jp/die_kuma/20100513/p1


以前、日本最大の、そして唯一のと言っていいだろう天理市に2度ほど行ったことがあるが、金光の雰囲気もそれと似たようなものであろうというイメージはあり、実際、そのイメージと大きく隔たるようなものではなかった。


金光駅出てすぐ、橋の上からの風景

金光駅から橋を渡って南側に金光教の施設の多く、そして商店街が広がる。


↑商店街のあたり。



↑そこここに貼られる木札。子供の字と思われるものが多い。

掲示されていた「おもしろ川柳」



宗教を誤解する人は、新宗教の信者のことを「教義に凝り固まり、ユーモアに欠ける偏狭な性格」というイメージを持つかもしれないが、それは当てはまらないことが多いと自分には思える。たとえば金光教でも、以下のような「おもしろ川柳」なるものが掲示されていたりする。ここでは宗教的信仰と、日常のなにげないことが混在している。そもそも信者にとって信仰は、強く意識するものというより、おそらく日常に自然に溶け込んでいるものだ。そして「教えに従う」ということは、個別具体的なひとつひとつの日常の出来事に際して、無思考でいられるということではない。抽象的な教えを、具体に変換していく想像力が必要となる。ユーモアの感覚も時には必要となるであろう。


↑本部付近
↑祭場

マムシ注意

↑会堂

修徳殿



会堂の中に入り、参拝する人々の様子を見た。すれちがう老婆に挨拶をされる。当日(8月3日)は、「少年少女全国大会」という行事があるらしく、その準備で若い人たちが祭場付近でいろいろな作業をしていた(朝9時くらい)。彼らからも自然に「おはようございます」と挨拶をされる。都会に住んで久しい身には、自然にこうした挨拶が交わされるということだけで、新鮮な気がしてしまう。
本部付近は昔ながらの町並みが残っている。「金光」という表札が多い。少し離れたところにある金光教学院や、教学研究所を見て、金光学園幼稚園、本部総合庁舎を回って元の商店街に戻る。正直言って商店街は寂れている。けれども、行事で人がたくさん訪れる時には、にぎわうことだろう(その日もあの後、多くの客が来たのかもしれない)。
宗教とアイドルはしばしば比較の対象になるけれども、こうして実際に宗教の「現場」に足を踏み入れると、その強さが圧倒的に迫ってくる。建物の大きさ、町の規模、それに参与する人の規模、歴史。アイドルファンが1万人集まることはすごいことだが、信者数十万人という数の前では霞んでしまう。そして宗教信仰は基本的に一生続くものと想定される。その抜き差しならなさ、離脱可能性のなさが息苦しさとなる恐れはあるのだけれど、一方で圧倒的な安心感もそこにはあろうと思う。もちろんさまざまな要因によっていま、宗教は「流行らない」けれども、その対照によってアイドルのはかなさに改めて気づく。



金光から離れて、倉敷へ向かう。倉敷は観光名所であるが、目的はパフェを食べることだ。それ以外は美観地区を一回りしただけなので、大した感想もない。ただいくつか面白い光景を目にした。


↑美観地区の街並み

↑ある証券会社の前に設置された黒板



観光地というものの再帰性について考える。銀行も証券会社も、美観地区のエリア内では、「古き情緒を今も色濃く受け継いでいる」(http://www.city.kurashiki.okayama.jp/dd.aspx?menuid=5300)街並みと同化しているわけだが、それは昔ながらの街並みが「残っている」のではなく、「残している」(あるいは演出している)のだと強く感じた。観光というビジネスの論理の中で、消費者が観光地として美観地区を見て、その視線を踏まえて、美観地区が美観地区として振舞うとき、それはもう街並みを残すという意図的な行為となる。

さて、11時半に美観地区の三宅商店に入り、「桃のフローズンパフェ」(850円)を食べる。柔らかい桃の果実と、硬い果実のバランスが絶妙だ。硬い果実の方は小さくカットされているため、大きさの違う二つの桃の食感を味わうことができる。このバランスだけでも、このパフェは十分評価できる。コーンフレークは多め、あと桃のシャーベット。量は多くないが、さわやかに食べ終え、満足できるパフェだった。
食べ終わったのが12時。そこから、西乃浦浄水場(倉敷工業用水道事務所)に向かうことにする。「フェスタ・イン・工水」ということで、主に子供を対象とするお祭りに、岡山のご当地アイドル「S-Qty」が出演するということだった。12時15分から始まるということで、タクシーに乗り、5キロほど離れた会場へ向かう。しかしタクシーの運転手が法定速度を遵守した超安全運転。そろそろ始まると伝えているのに、まったく急ぐそぶりがない。
12時30分過ぎに会場到着。完全に子供のお祭りだ。12時15分〜45分のミニライブの最後2曲だけ聞くことができた。




↑会場風景

S-Qtyのファンはせいぜい十数名。カメラを構えたおじさんと、若いピンチケ世代が4人。あと浄水場のスタッフ(?)がやけにノリノリだった。曲の内容は岡山のご当地ソングで、歌詞に「I like 岡山」と含まれるもの、他にいまふうのアイドルソングといった感じ。10数分しか見られなかったので、なんともいえないが、衣装も色分けされ、それなりに歌って踊れるアイドルという印象だ。
ミニライブ終了後、いそいで新倉敷駅まで走る。15分ほどで、2.5キロほど離れた、道も分からないところの駅に行くのは無理だった。予定していた電車を逃し、岡山発の高速バスを逃す恐れが出てきて、焦る。12時20分新倉敷駅発、12時48分岡山駅着。ダッシュでバスターミナルまで行き、ゆったりと乗客の対応をしていた運転手のおかげで間に合う。タクシーの運転手といい、なんだかゆっくりゆったり仕事をしている印象を受ける。疲れてバスの中で寝ている間に四国入り。それでもまだまだ旅行は序盤である。