@JAM EXPO 2014

「@JAM EXPO 2014」、すばらしいイベントでした。
寝坊しまして、10時の開演に間に合わず、ひとまず10:45開始のJewel Kiss目当てで横浜アリーナを目指す。
それにしても、横浜アリーナの会場を7ステージと、トークステージ、運動会エリア、物販エリアに分けてという独創的な会場の設営の仕方はすばらしいです。朝の10時から夜7過ぎまでずっとアイドルが歌い踊り続ける。いまやどこにでもアイドルのステージは現れるし、いつでもアイドルがイベントを行なっている。そんなアイドルの「いつでも・どこでも性」を凝縮したようなイベントでした。
横浜アリーナの外周部分はスペースが十分にあって、小さいステージを設営することができ、そしてステージを見る客とは別に、柵によって通行スペースを確保することもできていて、大きな混乱はなかったように思います。進行についても、大幅に時間が押すこともなく、滞りなく行われていたように思います。すばらしかったです。
いろいろなグループを見ましたが、今回はアイドルとステージについて考えさせられたので、それを中心にレポを。


さて、会場に着くと、グレープステージでは「せのしすたぁ」がオープニングアクトを行なっていました。せのしすたぁの評判は聞いていましたが、初見でした。「アイドルなんてなっちゃダメ!ゼッタイ!」を歌った後で、ステージを降りて観客の中で「ワタシアイドル」を歌い始める二人。彼女たちが「サークル」の範囲を定めて、ファンがつくる円の中でパフォーマンスを続ける二人。ここからは当日のツイートも引用しながら振り返ります。





非公式ですが、参考となる動画はこちら。






上の画像はせのしすたぁのまおさんのツイートより引用
https://twitter.com/seno_mao/status/505903008983429121



中心のメンバーに向かってのケチャは、まるでナウシカを見ているようです(いい加減な気持ちで書いてます)。
「その者蒼き衣を纏いて金色の野に降りたつべし。」ファンの無数の手が、アイドルを支える。何でもない床が、一瞬にして、我々の聖地になってしまう。そんな風に、いい加減に聖地が出来上がってしまうところが、アイドルの面白いところなのです。
ということで、オープニングアクトがすばらしすぎたので、昼のオレンジステージも見てしまいました。ステージから降りてしまうという、運営サイドからすれば禁止しておきたいことを2度もできたというのは、運営の寛容さと、ファンとの信頼関係がなせる業かと思います。



続いて取り上げるのはJewel Kiss。
3人になってからは初めて見たので、初めはちょっとさびしい気もしましたが、ヲタの熱気は変わらずそこにありました。
Jewel Kissと言えば、最近YouTubeに上げられた動画が本当にすばらしいですね。それとともに、アイドルとは、ファンとは、ステージとはと考えさせられるものです。



一応説明しておくと、Jewel Kissの「ミラクル初デート」では、サビに入るとファンがステージと関係のない方向に走り出し、どこかでターンして戻ってくる、ということが一種のヲタ芸として行なわれています。この動画を見れば分かるように、サビに入ると、メインコンテンツはファンの振舞いの方に切り替わってしまう。そこで束の間捨て置かれるステージとは何なのか。
さあ、この横浜アリーナの外周部分に設置されたステージでのパフォーマンスにおいて、このダッシュは発動するのだろうか(するだろう)というのが見どころでしたが、もちろん案の定、発動したのでした。初めはさすがに危ないので早歩きVerになるのかなと思っていましたが、割とガチでダッシュでした。通りすがりのファンを驚かせながら、そして若干危ない思いもさせながら(ごめんなさい)、やはりダッシュは最高に楽しいのでした。



もう一組取り上げたいのが、青SHUN学園。
プロデューサーのSHUNさんが熱唱しているのを見て、アイドルのステージやないんかい、と思いながらも、結局その熱にあてられて自分も渦中に巻き込まれてしまう(いつものパターン)。最終的にプロデューサーが持ってっちゃうのって、ずるくないか?ずるくないか?いやー、しょうがない。SHUNさん、また毎度自己啓発っぽいことを言うんだなこれが。頑張った自分に拍手!



SHUNさんは客の側に飛びこんで、担がれて、観客と一緒にぐるぐる回って、胴上げもされて、また観客もオーエーオーで一体化して、確かに全力のいっしょくた感。



これらのライブから感じたこと。繰り返す部分もありますが、あらためて書いておきます。
アイドルはステージを上がることでアイドルになるが、一方で、ステージを降りてもアイドルはアイドルで居続ける。むしろ、アイドルを中心とした想像上のステージがそこに広がってしまう。これがすばらしい。
アイドルを名乗って、ステージに上がってパフォーマンスをする。それでアイドルは成り立ってしまう。しかし一方、そのステージというのが、別に大会場の立派なステージである必要はない。地方の街の一角に、テープで区切られた申し訳程度の範囲として示されるだけでもいい。せのしすたぁ横浜アリーナの外周部分に設営されたステージを降りて、自らがファンを統制して、横浜アリーナの何の変哲もない床に円形のステージを創り上げてしまった。ここにおいて、ステージに上がるのではなく、そこをステージにしてしまう、アイドルがいるところがステージになってしまう、という事態が起きる。
そして、アイドルの役割ってなんだろうという話。自分はアイドルが、楽しませるということさえできれば何をやってもいいという自由度が面白いと思う。歌を歌っても、踊っても、けん玉をしても、マジックをしても、コントをしても、運動会をしても、何でもいい。
盛り上がりたい、楽しみたいファンを統制するような、指揮者にアイドルが特化するならばそれもとてもすばらしい。
その盛り上がりの中で、メインの演者がファンになってしまう、という事態があってもそれは面白い。全力でダッシュするファンの集団が一番の見世物になる、ということがあっていい。もちろん、メインコンテンツがアイドルである、という事態を脅かしてはならない、そのバランス。
だから、SHUNさんが担がれるのは自然だけれども、自分はファンが担がれるリフト的なものを許容しづらい。それは一ファンを特権化してしまう可能性がある(もちろん単純に視界を遮るという問題もあるし)。アイドルはステージを降りてきてもよいが、ファンが一人でステージに上がることは許されない。だったらその人は、アイドルになればいいという話。


ということで、
アイドルはステージである。
アイドルは演者であるが、ファンが演じる時には、よき指揮者でもありうる。
そんなことを感じた@JAMでした。