目黒果実園にて、「桃のパルフェ」を食べた

仕事多忙でブログどころではない斧屋です、こんばんは。
目黒果実園で「桃のパルフェ」(1200円)を食べた。



改めて「パフェ道三則」の確認をしておきましょうか。
1.空きっ腹に食うべからず
2.創り手の意図を考えよ
3.時間と金をかけよ


エビとアボカドのサンドイッチでお腹を適度に満たした後に、パフェの登場です。


さて、フルーツパフェ一般に言えることですが、なかなかその名に恥じないパフェというのは多くありません。
コーンフレーク等のかさ増しがあったり、第三層(最下層)がゼリーだったりして(いやもちろんそれはそれで一つの考え方ですが)、フルーツの果実というものを味わい尽くす、となかなかいかないものです。
もう一つ、総合的な「フルーツパフェ」というものの難しさも感じていて、多くの果実を盛り合わせたパフェというのは、一つ一つの果実の当たり外れが多くて、値の割には満足できないということもあります。
したがって、フルーツを使ったパフェは、一つのフルーツに特化したパフェをこそ愛でたいというのが今の自分の立場です。



本日の「桃のパルフェ」は桃に特化したパフェとして、非常によい作りをしていた。器の周囲にはみ出て落ちんばかりに盛り付けられた桃の果実。ベリー系果実は色と酸味のアクセント。生クリームとバニラアイスの他は、第三層まで桃の果実がたんまりと。
桃をただただ楽しんで下さい、という作り手の愛が伝わるではないか。惜しむらくは、桃の甘味がもう少しほしかった。しかしそれでも、総合的にムダのないパフェ。果実園のメロンパルフェに次ぐ、完成度の高いパフェと言って差し支えない。
パフェを本当に楽しんだら、時間は勝手に経っている。自分にとってパフェを食べる時間は、結果として15〜20分かかっていた、となることが望ましい。そしてそのあと余韻に浸る時間が5分以上。本日は17分+8分で、25分のパフェ体験となった。
パフェを上から下へかけての三層構造と捉えた時、器よりも上にはみ出た第1層を過ぎ、第2層の桃の(小さくカットされた)果実の層に入ったところで、スプーンを持つ手が震えてきた。これはいい兆候で、パフェに陶酔して、ここから時間感覚が判然としなくなってくる。と同時に、このパフェ(体験)はいつまで続くのだろう、いつまでも続いてほしいと願う気持ちで満たされてくる。以前パフェ体験を山登りにたとえたが、本日もまさにそんな感覚が去来した。
第3層も終わり近くになると、食べ終えるのが惜しいという思いに囚われる。好きであるがゆえにいつまでも対峙していたい思いと、口の中から体内へと、パフェを取り込み合一したいという欲望の葛藤。そこには暴力的な昂揚感と、エロスも綯い交ぜに存する。
全てを終えてしまった後は、ただぼんやりとするのがよい。夢から覚め、夢の中だけの全く別の人生が突如終焉を迎えたことへの悲しさ、さびしさ、しかし甘美な思い。そういったものに身を委ねるのがよい。
たった20数分で長い心の旅をさせてくれる濃厚な体験、それがパフェ体験だ。