元清純派アイドルが薬物使用というわかりやすい物語

いまや38歳の元清純派アイドルに関してですら、事務所の管理体制とか言われる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090811-00000000-dal-ent
『管理責任の甘さが指摘された同社では今後、タレント管理マニュアルなどを作成し、タレント管理体制の強化を図る予定という。ある幹部は「これまではタレントとの信頼関係で、プライベートにもノータッチだったが、それが緩かったのか。見直さざるを得ない」と吐露した。』


非難に対する説明責任としては、こうなるんだろうけど、マニュアル化してプライベートまで管理って、たとえば子供の教育とかいった領域でもそうなんだろうけど、まずうまくいかない。アイドルの体にICチップでも埋め込む気だろうか。
薬物の蔓延を憂え、特に社会的影響力のある人物の薬物使用に対して厳しく対処する必要性は言うまでも無い。しかし、上記のような、生身の人間のプライベートな場を実質なくしていく、そうした絶望的な環境が、ますますアイドルの逃げ場をなくしていくことは想像に難くない。
まあ、こうした事件があるたび、非日常に彩られた芸能界の狂いの部分が抗いようも無く存在することにあきらめに近い感情が湧いてしまう。芸能人も、アスリートもそうだが、尋常ではないエネルギーを持った人間の、その強いエネルギーを制御する難しさ、その魅力と危険性。ホームランバッターは自打球も痛い、みたいな。狭い部屋でスーパーボール弾ませて、どうなるんだ、みたいなとこはある。アイドルのパルプンテ性。


一方で、残念ながら、この酒井法子をめぐる報道自体、ネタとして流通する過程で、プロレスのヒール的な役割としての「アイドル性」を獲得してしまうという皮肉・哀しさもある。
『報道がPR効果…酒井容疑者“幻のうさぎ”ついに1位』http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090812-00000047-spn-ent
酒井法子容疑者のヒット曲「碧いうさぎ」(95年)が11日、米アップルの有料音楽配信サイト「iTunes ミュージックストア」で配信数1位に達した。
民放各局が連日、酒井容疑者の報道とともに、繰り返し同曲を流しており、結果的に視聴者の購買欲をあおっているようだ。』
我々は結局悪玉を自らの倫理観に基づいて糾弾したいのでも、善玉にあこがれてひれ伏したいのでもなくて、ただその日を暮らせるだけのネタがほしいだけじゃないのか、と思えてくる。この事件を通して見えてくるのは、我々がメディアに対してただ単に受動的であるというよりも、むしろ我々が基本的には暇で、そのネタ探しにテレビやらネットやらを漁る。それに対してメディアが反応するという、短絡的な共犯関係ではないかと問いたくもなる。
…じゃあそれが悪い、ということも必ずしも言えないのかもしれないが。