娘。秋紺:ヲタの可視化

モーニング娘。コンサートツアー 2007 秋 〜 ボン キュッ!ボン キュッ!BOMB 〜
「ぼんきゅっぼんきゅっぼん」に多様な解釈を与えていくこと。それはヲタの仕事であると思うが、娘。自身がMCの中でいくつかの解釈を提示してくれる。後は俺らで考えよー。ただ言えることは、こういう適切な擬態語って、本当に現場の現場性を表せるし、記号としてだけの言語じゃなくて、身体としての言語とも言える擬態語こそ、アイドルのツアータイトルにふさわしいよな、と思わせる。実際「ぼんきゅっ」とかいうバカバカしい響きに、僕は現場においては抗えなかったのだ。それはいいライブであったことの証だろう。
とは言え、感想としては、「SEXY BOY」「シャニムニ」で踊れればいいか、ってな感じ。新生モーニング娘。と言われても、レインボーピンク並みの衝撃がない限り、遠征はできないかな。セットリストも満足いくものではあるけれど、僕は新しさを感じはしなかった。
特に目新しいものではないが、気になった点は2つ。一つは、美勇伝紺ではおなじみの人形劇の中で、「高橋スマイル」が出た後の「萌え〜」というテロップ。もう一つは、「NATURE IS GOOD」の時の応援団みたいな振り付けが、ステージ上のビジョンに、ヲタの人影を模した形のアニメーションで表されたこと。これは春紺でもあったことで、それを僕は「ヲタ世界への理解」とか「歩み寄り」とか言ってきたのだが、「ヲタの可視化」と言ってもよい。ともかく、過去のハローにおいては、アイドル側は「ファン」は認めても「ヲタ」という存在は見ない振り、見えない振りをしてきたように思われる。それが最近、亀戸ガッタスイベでのヲタ芸の話でもそうだけれど、ヲタという存在をアイドル側が認め始めた。これはもちろん、社会的に「オタク」の認知度が高まったことが大きいが、ハローがまたマイナー化してきて、距離が縮まっていることにも関連するだろう。
この事態の是やら非やらというのは今は判断がつかない。現場でいればそれは心地よい気はする。しかしながら、℃-ute紺MCについて最近述べているように、ヲタの存在を可視化するMCというのは、逆に言えばヲタに対しての批判的側面も同時に持つのだ。