覚えてね公演
一階はほとんど満員状態。開演前には、多分物販で売ってたDVDであろうと思われる映像が流れる。これまでのエッグの活動のダイジェスト。舞台にこまごま出てきたことが分かる。しかし僕は「THEポッシボー」さえまともに見たことがない。
その「THEポッシボー」の曲「ヤングDAYS!!」から開演。正月紺で聞いていたので楽しめた。そのあとの「スペジェネ」でのステージ上の光景は圧巻。なんだかな、「所狭し」ってよく言うけど、ほんとに狭すぎて大変なことになってる。誰が誰やらも分からんし、もう祭りだわっしょい感に溢れていて笑うしかない。
さて、MCでは全員の自己紹介。ニックネームを36人分聞かされるが、覚える気にはならない。光井・有原・ジュンジュン・リンリンのほかは吉川と是永(コレコレ)とのっちとかにょんくらいしか知らない。昨年AKB48を見に行ったときのことを思い出すが、群雄割拠の時代には、いかに覚えてもらうかが死活問題であるから、みんな懸命である。その中でも小4の前田彩里(いろりん)はジュニアアイドルの危さを最も色濃く表現していた。
「GET UP!ラッパー」で、かにょんがなかなかすごいんではないかという感覚が生まれた。今回のライブは基本的に昔の曲でセットリストが構成されているため、懐かしさと、新鮮さが渾然となってそれがときに心地よく、ときに違和感となって心を揺さぶる。
さて、「Yeah!めっちゃホリディ」である。ここで演者の5人は、そろって当時のあややのような衣装で登場する。これは衝撃だ。アイドルは再生産され、複製されるものだ、ということを端的に表してしまったよ。続いての「ちょこっとLOVE」においても、4色それぞれの服を着た演者が舞台の左右から4人ずつ登場するが、これもパッと見た印象ではプッチモニが二組出てきた、ということになる。あからさまなアイドルの複製可能性、代替可能性の表現である。いままでハローのメジャーな方面ばかり見てきた自分にとっては、これは怖いことだ。
THEポッシボー「主食=GOHANの唄」。新人の中では「THEポッシボー」は公演中別格の扱いを受けていたが、それにしてもこんなに人気があるとは思わなかった。「THEポッシボー」には確かに殴りたくなるような魅力がある。僕は彼女らがかわいいとは思わないが、80年代的雰囲気を出そうという意図を感じるし、AKB48を意識している風もあり、面白い存在ではある。「GOHANの唄」は、それがどんな事情で作られたにせよ、おバカな曲であって、安心してバカにすることができる名曲である。ご飯に対する気持ちが「恋をしてる気分とおんなじ」というねじれ。普通だったら「恋」と「ご飯」は対置しない。もしネタっぽくするなら、「「恋」という気分が「食欲」とおんなじなのかしら?」というあどけなさに持っていくことはできるが、「GOHANの唄」においては、もちろんご飯の歌であるから当然といえば当然だが、あくまで「恋」は引き合いに出されるだけの脇役に堕しているところが痛快だ。
なぜその衣装で、なぜご飯の歌を、なぜ滑稽な振付で歌っているのか?かわいそうになってきたら、THEポッシボーの戦略は成功だ。そういう意味で、ハローの血は間違いなく受け継いでいるグループである。
最後のMC、またもニックネームの確認。ヲタにニックネームを叫ばせるまこと。そう、まこと。僕は36人分も「せーの」を繰り返さなくちゃならないまことの悲哀を思って苦笑いだったが、公演目的が「覚えてください」ということなのだから大事な仕事ですよ。
ラストの「ダディドゥデドダディ!」のイントロを聞いた途端、あいぼんが歌う映像が頭の中に蘇り、「あいぼぉん!」という極めて場違いな声を出してしまった。反省。
公演時間1時間10分程度。短いなりに怒涛のセットリストだったので満足。とともに、アイドルシステムとは?って、深く考えちゃうね。