娘。「歩いてる」オリコンウィークリー1位

ちょっと遅れましたが、この件に関して。
秋紺当初からその歌詞世界はすごく好きで、1999年以降連綿と続く娘。世界をしっかりと受け継いでいるこの曲が1位を取れたことは、ライバルがいないとか様々好条件や魂胆がある中での結果であれ、うれしいことだ。
SMAPの「ありがとう」なんて僕からすりゃつまらない曲が、SMAPであるということを口実にみんな安心してベタに没入できちゃう現状があるのなら、「歩いてる」がトップとったっていいよな、と思ってたのだ。SMAPと娘。を並べて語ることはもはや厳しすぎるけれども、でも事実としてトップをとれたってことが、素直にうれしい。娘。を愛する者として、娘。はうれしいだろうなあと思ってうれしかったり、まだ娘。もやれるじゃねーか、みたいな気持ちと、自分達ヲタが認めた曲がちゃんと売れているという納得の気持ちと。
つんくの曲がいいと思うのは、
①倫理的な言葉をかなり直接的に使ってくること(「正義」「平和」とか)
②歌詞の作りが下手に見えること
正直言って、僕は「歩いてる」の歌詞の全体的なつながりがよく分からないのです。僕が似ていると思っている曲「I WISH」では、まだ最後の2行以外はうまくつながっている気がするのだが、「歩いてる」だと、なんか深いこと言ってそうで、多分言ってない、みたいな歌詞が並んでいる。僕は、この曲で言いたいことは「正義」「平和」でおしまいだと思っている。倫理は論理的に説明できない。だから、あえてつながりのよく分からない歌詞構造にすることによって歌詞の中に倫理を織り込んでいく、というのが昔からのつんくの技術だ、というのが持論である。
で、倫理を織り込んで1位だからうれしい。僕が愛し始めたときのままの姿で娘。がある、ということだ。
欲を言えば、もうちょっと理解不能な歌詞が多いほうが好みなのだが、まあぜいたくは言うまい。

ところで、中学生がバタバタと自殺していっている。
「歩いてる」を聞いて救われろ!っていうのは暴論だと思うのだが、そういう救世主の待望論ってのもあっていいんじゃないかと思う。何もかも剥がされていく時代に、絶対的に依存できる何かを多くの人が望んでいるのは事実だと思う。SMAPみたいに、娘。も剥がれない仮面をかぶれるか。
いや、かぶれないんだよな。かぶれないはずなのに、かぶっている気もするんだ。その微妙なバランスにこそ僕は惹かれているのかもしれない。それってずっと言ってきたことだ。アイドルは人間であり、かつ人間でないと。
だから、覆いを完全にとっちゃダメなんだからね、のんちゃん。