PIP2回目

濱野智史さんプロデュースのアイドル、PIP(Platonics Idol Platform)のイベント2回目。

10分遅れで会場到着。曲途中だったので、終わりまで待ってから入場。70名ほど。イベント会場はスタイリッシュな会議室といった感じ。(日本技芸という濱野氏がリサーチャーを務める会社が会場でした。)メンバーは3名欠席。

まず披露した3曲は先日のデビューイベントと同じ。客層はこの間よりも文化人的な層から、アイドルファンの層に少し寄ったという印象。イベントは3グループがそれぞれ自己紹介をしては曲披露という流れ。その後、前回の個別イベントで集客の悪めのメンバーのテコ入れMCをはさみ、ソロコーナーで各グループから1名ずつ計3曲の披露、そしてハイタッチ。有料イベントとしては前回もやった似顔絵描きイベント、これは参加せずに会場をあとにした。


さて、気付いた点。今回は曲中でのMIX、コールが、少数の客によりかなりやかましく入った。MIXはいいとしても、かなり歌詞にかぶさる感じのコールもあり、けっして聞きやすくはない。ここらへんは、どういった客層を満足させるかという問題で、この現場がどこまでを許容するラインとしていくのか、それを運営側が明言するのか、あるいは運営の望むような応援文化が醸成されるようにアーキテクチャを設計していくのか、今後の動きを見守りたい。個人的には、今日のコールはうるさすぎた。
メンバーは、比較的のびのびやっているメンバーと、まだ緊張しているメンバーがいるが、総じて少しずつ表現力が上がっていくのだなと感じた。アイドル自身も、客も、そのメンバーの魅力がどこにあるか、売りは何かを探っている段階であって、そのギクシャク感は会場に適度に緊迫感を与える。この意味での安心感のなさというのは、グループ立ち上げ当初の現場に強い熱量をもたらす。
先週の個別イベントでお客さんがあまりつかなかったメンバーだけ、テコ入れのためにMCの機会が再度与えられた。おそらくAKBN0(現N0)とは違って、PIPは売上至上主義を取らないのだろうと推測しているが、メンバー自身のモチベーションのことを考えても、お客さんがあまりつかないという事態を放置していくわけにはいかないのだろう。そのMCでも、キャラが比較的立っているメンバーと、苦労しているメンバーがいたような気がする。濱野さんは面接して採用した立場だから、彼女たちのいいところをよく知っているわけで、そこを引き出そうとするが、まだまだ緊張してしまったりで、うまく出なかったりする。そういう場面を見ると、プロデューサーが育てないとアイドルらしくなっていかない、という教育の側面を感じることになる。実際にアイドルファンという立場からしても、こうしたらいいのに、と思うことはある。たとえば今日のMCで書道が特技と明らかにしたメンバーがいたが、それをプロデューサーの濱野氏が知らなかったということがあった。なぜ面接で書道の件を言わなかったのだろうか。もしかしたら、ファン個人個人に書道でメッセージを書いてプレゼントする、というようなイベントができるかもしれないのに。アイドルの魅力は、接触イベに重きが置かれる以上、そのパーソナリティにあって、ビジュアルという分かりやすい条件を満たさなくても、いくらでも人気を獲得する術はある。そのことをアイドル自身が学び、実践していく場が接触現場なのだろう。このようなことを考えると、どうしてもメンバーにアドバイスをしたくなる気持ちも起きるけれども、それってもう説教厨の始まりなんじゃないか、と思った。だからたしかに、アイドルに説教をしたくなるファンの気持ちは理解できる。
濱野さんがMC中に、メンバーと一緒にジョギングをするイベントも考えている、と言っていたが、たしかにアイドルのイベントはもっともっと多様化していい。すでに一緒に走るイベントはN0が確かやっているし、AeLL.の開墾イベントの例もあるし、作った料理を食べられるJewel Kissのイベントも印象深い。アイドルは感情を揺さぶられる体験のハブとなればいいのであって、その体験が歌とかダンスとかの鑑賞にとどまる必要はない。その意味で、アイドルイベントはまだまだ多様化するし、面白いものが開発されるに違いない。もしかしたら、そのような形でイベントを多様化していくこと自体が、アイドルのセカンドキャリア問題を解決する手段になるかもしれない。いろんなことやらせた方が面白いし、その方がメンバー個々の魅力を発見できるし、アイドルにとっても何で飯を食うかの判断がしやすくなり、またスキルを磨くきっかけにもなる。
残念ながら手持ちのお金が全くないという状況で、似顔絵イベはパスして帰途についたが、今度は必ず個別イベントに参加したい。さすがにこのアイドルを、接触体験なしで語るのは片手落ちである。