秋の扉を叩くパフェ

すっかり魅了されたCafe中野屋のパフェ。早速2回目。



幸水梨のグラニテと巨峰の小さなパフェ モスカートダスティのジュレ添え(Cafe中野屋)750円
完食時間:11分
見た目の美しさ ☆☆☆☆☆
一貫性 ☆☆☆☆☆
おいしさ ☆☆☆☆☆
コスパ ☆☆☆☆
独創性 ☆☆☆☆☆
興奮度(ふるえ)☆☆☆☆
総合 4.7



前回同様中野屋さんのブログより。
『すでに 幸水梨のグラニテと巨峰の小さなパフェ モスカートダスティのジュレ添え が始まっています。
こちらは毎年この時期には始めているメニューです。
すごい単純な構成で、読んで字のごとくな内容ですが......
出るんです。人気なのです笑

必要最低限に抑えた水分と糖度のみで、あとはほぼ梨!!というピューレ状のものを凍らせてひたすらフォークでさくさくしたこの梨のグラニテと巨峰。
パンナコッタとイタリアの甘口白ワイン、モスカートダスティをジュレにして上から掛け、白ワイングラスに入れた、見た目も可愛い小さなパフェです。
ダイレクトに夏との決別を感じることのできる、そんなデザート?です。』
(9月5日更新分、改行無視して引用http://www.cafenakanoya.com/Blog.html





このあいだのパフェでババロアだと思っていたのは、パンナコッタだったんですね。間違えました。
さて、この見た目、どうですか。
パフェを持ってきた店員さん、「スプーンでさくっと梨をグラスの中に落として食べてください」とのこと。
梨のチップを貫いて、果実を下に落とす。チップはだいぶ甘い味付け。ブログの文面に「夏との決別を感じることのできる」とあるが、チップを貫くことが、ポジティブに秋の扉を叩くことのように思われて、なんだか文学的なパフェだななどと過剰な感傷に浸ってもいた。





第2層は梨のグラニテとジュレ、それから凍った巨峰の果実、これが震えた。構成は至ってシンプル、そしてたとえばメロンのような濃厚な甘味はないけれども、それがかえって秋の訪れを感じさせる。夏休み、スイカ、海、とか。それらが失われたどうしようもない寂しさ。確かにそれはある。でも、秋が来たよと。
第3層はパンナコッタ。これが違和感になるかと思ったが、思ったよりしつこくなくて最後までへんなひっかかりなく、食べ終えることができた。
やはり、中野屋さんは他店のパフェとは層の作り方について別の思想を持っているような気がする。フルーツパフェだったら自分は一番下には果実がほしいと思っていたけど、これはこれでひとつの物語になっていて、完成されている。独創性、一貫性、美しさ、おいしさ。うん、今年最高のパフェでしょう。
量は少ないので、ここでうどんを食べた後にパフェを頼むのがよさそう。自分はパフェ単品で頼んだので、まだ食べられるなあという気は残った。





少し歩いたら腹が減ってきたので、小田急百貨店内の西村フルーツパーラーに行く。ホットケーキを食べてから、パフェ。




桃と葡萄のパフェ(西村フルーツパーラー)1260円
完食時間:9分
見た目の美しさ ☆☆☆
一貫性 ☆☆☆☆
おいしさ ☆☆☆
コスパ ☆☆☆
独創性 ☆☆
興奮度(ふるえ)☆☆☆
総合 3.0


構成:第1層、生クリーム、デラウェア、マスカット、巨峰、巨峰のシャーベット?、桃、第2層、バニラアイス、ジュレ、第3層、ジュレ、桃、デラウェア


電車の時刻との戦いで、食べるのを焦ってしまうというパフェ道に反する行いを反省。1.5倍くらいの時間はかけたかった。
フルーツパフェは、フルーツの力で押し切れちゃうんだよね、だから大方満足は行くのだけれど、それだけに頼ってしまってはいけないとも思う。個人的にはシャーベットが甘すぎた。あくまで果実の甘味を引き立てる存在であってほしかった。第3層に果実を入れているのはいいのだけど、果実→バニラアイス→ジュレ&果実ってのは西村の定番のパターンで、それは普通においしいけど、単調で独創性には欠ける。驚きはない。どうしても途中で興奮が冷める感じがあるなあ、西村は。
一定のおいしさは確保されていて、でも単調で誰にでも作れそうなパフェ。別にこれは悪口でもなくて、そもそもパフェってのは割とそんな感じで手軽に楽しめるものでもあるはず。庶民が、手の届く範囲で(手ごろな値段で)非日常、高級感を味わう、というあり方がパフェの一般的なイメージかもしれない。となってくると自分としてはアイドルとか、ラブホテルとかの、思い切り俗でもありまた日常を超えたものでもあるような、自己矛盾を抱えた存在を思わずにはいられないのだ。
西村は渋谷と町田にあるけど、せめて町田ではもう少し値が下がるといいなあと思う。1000円以内でもっといいパフェがあるのを知っているので。