モーニング娘。コンサートツアー2009春〜プラチナ 9 DISCO〜

5月2日夜公演、中野サンプラザに行ってまいりました。2階席からゆったり、と思ったら、左隣は必死で振りコピをしていて面倒だが、なんか頑張っているので僕のほうが我慢した。
娘。紺はなんと昨年の3月以来、1年以上のブランクをおいての参戦となりました。
推しがいない、曲も好きではない、という状況では致し方ないかと思うが、それでも今回行こうと思ったのは、セットリストを見て幾分かの期待をしたからだ。しかしいったいどういう期待なのかよくわからないままで。
簡単に感想を書くと、娘。というグループの安定感・安心感はある、なんか盤石な感じが。そのパワフルさは℃-uteにはないと思う。一人一人の力強さ。推しがいなくても、見る価値のあるライブにはなっている。
非常に対照的に思われるのは、 連続して歌われる「情熱のキスを一つ」(高橋・新垣・田中)と、「片思いの終わりに」(亀井)だ。前者は明確にセクシャルなイメージの曲、そして高橋を中心とした抜群の歌唱力。一方後者はゆったりしたアイドル歌謡という感じ。この対照的な2曲を聞きながら、果たしてヲタはどちらを求めているのだろうか、とか、この2曲をどのように消化していっているのだろうと思った。ぼくのアイドル観に照らすなら、圧倒的に後者の曲のほうがヲタ向きなんじゃないかと思うってしまう。大した根拠はない。ただ思い出したのは、以前の娘。のミュージカル「リボンの騎士」で同じ役を演じた、圧倒的な歌唱力の松浦亜弥と、歌が下手ながらりりしく演じた石川梨華とで、ぼくははっきりと石川梨華のほうが優っていると感じたことだ。要は、アイドルの評価のしかたが大変難しいという話である。
しばらく娘。の世界に触れていなかったので、メンバー同士の関係性が知識としてない状態でMCの様子を見ていたが、小春とジュンジュンの掛け合いはなかなか面白かった。田中さんのダメな感じがよく伝わるトークもよかった。ぼくは歌を歌ったり踊ったりしゃべったりするアイドルを見に行っているのであって、たとえばアイドルの歌を聴きに行っているのではない、ということを強く自覚した。
アンコール後の最後のメンバーのMCで、一番生き生きして見えたのはリンリンとジュンジュンだった。これは意外だった。嫌な分析の仕方をするならば、日本語がたどたどしいせいで一生懸命やっているように見える、ということは言えるだろう(しかしリンリンのはつらつさは、そういったことを上回る彼女自身の魅力にあふれているようには見えた)。これは方言をしゃべる子に好感を持つこととも通じるようなことかもしれない。ただ一方で言えることは、アイドルにとっては、どう見えるかこそが全てという側面もあるわけで、たとえばぼくにとっては、ライブで総合的に一番印象に残っているのはリンリンだった、という事実は厳然としてあるのだ。これはスポーツ選手のように、試合で結果を出せばそれでよいというような、評価軸のはっきりしている職業と対照的な点だ。アイドルは(われわれの目の届く範囲での)生き様全てが評価対象になるし、評価の要素も評価者によって違うというあいまいさを持つのだ。
振り返ってみると、僕が娘。から疎遠になってしまったのは、推しがいなくなったからということもあるが、その見せ方にも疑問を持ったからではないかと思う(主にハロモニを念頭においてしまうが)。その存在にいかに興味を持って見てもらうか、という点において失敗したか、少なくともその点においてAKBのほうが巧かった、ということはあるだろうと思う。当たり前だが、楽しそうなほう、気になるほうに人は流れるのだ。
ところで、ライブ終盤の「グルグルJUMP」は、客席のヲタも手をキラキラ揺らせてグルグル回っていた。ぼくはこの曲に慣れていないので、隣の人がグルグル回るのを横目で見るばかりだったが、たいそう楽しそうだった。だからぼくも、「ラヴ&ピィ〜ス!」では隣に負けじと頑張ってみたのだ。
やはり神輿は豪華で、キラキラして見えるべきなのだ。そういうのがわっしょいわっしょいやっていたら、自然と担ぐ気になるものだ。