それぞれの速度

中野でのこと。
1月2日の公演で隣の席にいたヲタは、全然動かないもんで困った。
全然動かない人が隣にいると、例えばこちらがジャンプした時、着地の瞬間に明らかに隣の人との摩擦が生まれる。これは微々たる感覚ではあるのだが、それが繰り返されることになると、その違和が蓄積されてストレスになってくる。様々な曲で、曲にのっていれば体が左右に傾いて然るべきタイミングでも微動だにしないと、やはり体が不自然な形で接触する。サッカーで言うところのオブストラクションに近い感覚を得ることになる。
1月3日夜公演。右隣は動かず。左隣は激しく動く。
左の人は、曲によってはマワリ・ロマンス。こちら側まで体を寄せて激しく腕を振っていた。当然何度か肘があたる。身長が違うもんだから、相手の肘が自分の頭部付近を動いているのが少し怖かった。一方右の人は、通路側の席だが全く動かず、曲にのる気配もあまりない。そんな板ばさみで自分は大変動きづらくなってしまった。


誰が悪いという気もしない。ただストレスだ。
道路を自動車が走っている。前を自動車が徐行していたら、むかつく。さっさと行けよと。一方、高速道路で前も後ろもスピードを出していた場合、怖くても自分はスピードを出さなくてはいけない。道路には速度規制があるけれど、ライブ会場で動きの激しさを数値化して規制することはできない。せいぜいファミリー席を設置するのみだ。
どのレベルの道路であるか、席につくまで分からない。普通は良席であればあるほど高速道路であるはずだ。けれども、周りの客によって、それは偶然的に決定されていく。もちろん、知り合いと連番を組むことによって、速度を一定にならしていくことが一番よいと思われる。大連番を構成できればよいだろう。けれどもいずれにしても、違う速度との接触はどこかしらで避けられない。そしてぼくは最近単番での参戦になってしまっているので、如実にそれを感じたのだった。
ライブでのノリ方は、ある程度画一化に向かう。PPPHなのか、振りマネなのか。みんなが一緒の動きをするようになれば、無用な摩擦もなく、平和だろうとは思う。(2年前の娘。紺で、「青空がいつまでも続くような未来であれ!」の時に、娘。の命令で左右のヲタと「青空トレイン」を組まされ、汗ばんだ隣のヲタの肩に手を置きながら電車ごっこをした我々ヲタは決して悪い気はしなかった。)けれども一方で、個人が自由にのっていて一向に構わないのだ。自分も曲によっては、大して動かずじっくり聞いているから、隣の人に迷惑がられているかもしれない。
ぼくは隣が同じ速度であることを願うのみだ。それか、比較的接触を避けられる通路席を入手するか。随分と消極的な方策ではあるのだが。