『シャワーGirl!』

テレビ朝日の実験的?なテレビドラマ『シャワーGirl!』(http://www.tv-asahi.co.jp/s-girl/)を見る。
ストーリーは、簡単に言えば冴えないイラストレーター(アイドルヲタク)の家に若い女(実はアイドル)が転がり込んでくるというありがちな話だ。
アイドルのプロ意識を扱ったり、オタクをさほど偏見なく描いたり(そう見えた)、なんでか掟ポルシェが出ていたり、と興味深いお話ではあった。
アイドルはファンの理想像を演じなくてはならない、だけどそれがプロなんだ、というアイドルの描き方は、今年のハロー(波浪)を経験した身には強く刺さる。その理想像によって、ファンはがんばろうと思えるのだし、逆にがんばろうとするファンを見て、アイドルもがんばれる、という蜜月。これはあくまでポジティブに過ぎる捉え方ではあるけれども、ドラマの主題は「人間がんばれ!」なんだろうからこれでいいドラマである。
最後サイン会で二人が再会する場面。気づいていながらもプロの仕事を全うし、満面の笑顔で応対するアイドル。それに対し、自分が立派なイラストレーターになったことを報告するかのように彼女の似顔絵を見せる主人公。この微妙な距離感がたまらないと思う。アイドル対ファンは、1対1でありながら1対1でないのだ。あるいは1対1でないけれど1対1なのだ。そこを超越させることこそアイドルの真骨頂であるということ。


さて、見終わってテレビ朝日のサイトを見たら、特設サイトで「アイドル・早乙女ミホ」のスペシャル動画が見られる。それなりによく出来ていて面白いし、80年代アイドルの雰囲気と、在りし日のあややを思い出す。「100%やっちゃうもん」なんていうタイトルも秀逸(「やっちゃうもん」と「がんばっちゃえ!」ってすごくモチベーションの持っていき方として意味の似た言葉ではないかと今思った)。こうやって簡単そうにアイドルが造られてしまうのを見るのは複雑な気分もある。ハローが相対化されて、アイドルはつくられたもの、ということが顕在化してしまうのは、少なくともそれが「夢」と関係している以上好ましくないことである。
「ミラクル戦士ミーポン」では、ネット動画ならではのネタに溢れていて、それと掟ポルシェの気色悪さがマッチしてとても怪しい出色の出来である。5分くらいだから興味のある方は見てみては。
テレビのほうでもそうだったが、スポンサーのP&Gの「ハーバルエッセンスシャンプー」が、このネット動画の終わりでも広告される。で、でもそのえげつなさも、そこまで広告に徹しているならもうそれはそれで堂々としていていいんじゃないかと思えて、特に嫌な気はしない。なにしろ、僕はアイドルに勧められれば食わないポッキーを何箱でも買うような人間だからな。まあ、そういう構造すら戯画化されて僕に差し出されているようで、そこんとこ含めて深みのある作品かなと。


だけど、そうやって人工物としてのアイドル、とか考えちゃうと、逆に「本当に」生まれついてのアイドルです、っていう存在に焦がれちゃったりもするんだろうなあ。人はいつも無いものねだり。