不案内

中国人に道を聞かれる。
すんげー近くの有名な建物までの道だ。
そいつは地図を指差して、ここまで行きたいんですと言う。
…行けよ。


いつも思う。
地図以上の道案内って、訓練された人でないとなかなかできない。
習慣的に道を知っている人は、いちいち曲がるところの特徴なんか覚えちゃいない。
スタートからゴールまでの道筋が明確に描けているわけではない。
だから、説明せよと言われても困るのだ。
そこへ行くことはできるが、人を行かせることはできないのだ。
あたかもそれは、読めるけど書けない漢字があるのに似ている。


二つ目の交差点を左に曲がって、三つ目の交差点を右に曲がり、郵便局の隣りがその建物です。
…世の中、そううまくはできていないのだよ。