③ジュニアアイドルしほの涼

先週分、Gyao「生やぐち」を見る。いい番組だなこれ。
ジュニアアイドルしほの涼が普通にしゃべっているところを初めて見た。
芸歴の長いしほの涼はよくしゃべる。僕のイメージではオタク的な女性は概して声が低い。しほの涼もオタク的な雰囲気を醸していると思う。番組を見て改めて思うのは、もちろんしほの涼はバカではなく、自覚的にアイドルを演じていること。メタ的に自分を捉える視線を確保して、他のアイドルと並べて評価もできるし、逆に他のアイドルに対してもオタク的視線を投げかけることができる。そこには社交辞令もあるのだろうが、かわいいものが好き、という趣味も見てとれる。ハロプロエッグ能登有沙(のっち)のブログにおいても表明されるような「かわいい女の子」が好きという趣味。
基本的に「丈の足りていない」衣装で見せパンを存分に見せつけるDVDを何も知らない振りして撮られているのではなく、どうですか、こういうのが萌えますか、というセルフプロデュース。かわいいものが好きだからこそ、自分がかわいく撮られるのもいい。自分が楽しんでいるアイドルは輝く。僕は去年ジュニアアイドルの過激なエロ化に関していろいろ考えたが、しほの涼やら仲村みうあたりの、要は「分かってやっている」アイドル達はそれはそれでいいのだと思う。
そして思うのは、このように自分から自分を剥がして外から自分を眺められる人間は、「演じる」ということにおいても苦労をしないということだ。そこにおいてゲストのしほの涼石井めぐるには明らかな力の差があったように思う。もちろん、それが最終的にアイドルとしてどちらが魅力的かの絶対的評価基準にはならないのだが。
ともかくしほの涼は番組の空気が読めている。アイドルとしては読みすぎているために、ちょっと一般的なアイドルとしての魅力を損なってしまっているのではと思わせるくらいだ。これは娘。時代のしゃべりすぎていた矢口真里とも重なる。ホームチームが指摘するように、しほの涼は芸人的である。
アイドルの芸人化。無垢な純粋なアイドルではなく、自覚的にそれを創り上げていくこと。
①無垢→②自覚→③無垢のセルフプロデュース
アイドルの進化の過程で上のようなモデルを考えてみると(もちろんアイドルの優劣とは関係がない)、しほの涼は②なのかな、と思う。嗣永桃子はひょっとすると③だ。そして、アイドルの芸人化と同時に、芸人のアイドル化という事態を指摘したいのだが、芸人はいまや自覚的に「ベタ」を演出してきている印象がある。その象徴的かつ錯綜的な事例が「鳥居みゆき」ということになるのだろうが、難しい問題なのでまたあとで。