予餞会で…

ホテルの宴会場で、教授、院生、学部生がそろって立食パーティー形式の「予餞会」なるものが開かれた。
友達と就職の話やら卒論の話やらをする。
しばらくして、今年博士号取得、修士卒業、学部卒業の人が一人ずつコメントをすることになる。卒論の内容、進路などについて。
みんな難しそうな論文書いてんなー。
さて、わしの番。
「虚構の世界に住んでおります。○○と申します。」
卒論のタイトルを発表して、4年間アイドルを追いかけた勢いで卒論書きました、と言う。
無難にコメントして終わったかと思ったら、
某教授が、
「ちなみにどんなアイドル…?」とぼそっと。
「えーと、モーニング娘。とか松浦、亜弥とか、後藤真希とかまあ、そこらへんです…」
そうしたら、教授が、


「ちなみに誰推しなんですか…?」


あー、卒論よく読んでくださったようです。
まさか教授から「推し」なる言葉が出てくるとは…
いや、すんげー偉い先生なのですよ。ほんとに。ちょっと感激したね。
「えーと、モーニング娘。の矢口と、Wの辻を暖かい目で見守っております…」
とまあこれで終わりかのう、と思ったら最後に教授がとんでもないことを。
「ひとつ卒論を読んで分からなかったことがあるんですが…」



ヲタ芸というのは実際どういうものなんですか…?」


「ここでやっていただけると…」



ハァ?この場で、スーツ姿でやれと?



…そんな雰囲気じゃないよ。偉い先生と優秀な院生の前で。ホテルの立派な宴会場で。
さすがに、尻込みしたね。でもまあやったさ。
「痛々しいですよ」と前置きして。
ヲタ芸とはコンサートでの応援が…」とか説明して、
まずPPPH。
「OADというのはおーばーあくしょんどるふぃんのりゃくでぇ」←もうなるようになれ
マワリ。そしてロマンス。
さすがに100%の力では打てなかったけれど、まあいいでしょもう。
なんか写真も撮られてたし…


戻り際、助手の方が「祝祭」とかなんとかいろいろ言葉を駆使して、「痛々しくないですよ」とフォローをしてくれたのがなんともまた心に刺さった。
その後また歓談して、予餞会は終了。


しかしまあ、
なんというかね、
うちの大学やっぱすげーわ。
いや、宗教学の教授がすばらしいのか。
なんか、暖かいな。寛容の精神というのか。
もちろんそれなりにほめられたことがうれしいのだけど、
しっかり読んでくれたことがとてもありがたい。
何でも認めてくれる包容力のおかげか、
学生の多様さもまたとても魅力的だ。ああ幸せだ。幸せだったんだ。
あんまりまじめに勉強しなかったけど、いい環境だったんだな。ようやく気づいた。
ほんとうになんだかみんなに感謝だ。