WWEに見るアメリカ

アメリカのエンターテインメントプロレス、WWE。
様々な理由から娘。との類似性も指摘されるが、
極めて政治的なことも特徴だ。


ケーブルテレビで最近見たが、
アラブ系のレスラーが、リング上でプロレスの実況の2人(アメリカ人代表)と討論会を行うのだが、アラブ系のレスラーが、
アメリカ人は公然とアラブ人を差別している。」と言う。
それに対するアメリカ人の反論は、
アメリカ人の中に差別主義者がいることは確かだ。しかし全てのアメリカ人がそうなのではない。我々がお前を嫌いなのは、お前がアラブ人だからではなく、お前が人格的に問題があるからだ。」というようなものだった。
そこで会場は完全に「USA!」コールだ。
「完璧な国家などどこにもない。お前達がここにいるならアメリカを好きになるべきで、そうでないのならここから去るがいい。」
で、「USA!USA!」。
これこそ、公然と差別じゃないのか。
アラブへの差別を完全に個人への問題にすりかえて、
でも会場の観客にとってはリング上のアラブ人がアラブ人代表としてイメージされるのだから、結局会場の観客に見事にアラブ人差別感情がすりこまれるわけだ。そしてねじれた愛国精神もこうして造られるのか…
アラブ人はイラクアメリカ兵をバカにする発言もさせられていたらしいし。


エンターテインメントに露骨に政治性が含まれるのはやはりよくないのだな。


で、それは娘。が自衛隊のポスターに起用されてしまった問題と重なるのだ。
知らず知らずのうちにある方向性へと人々が志向づけられてしまうことの危険性には常に敏感でありたい。
娘。の歌詞は倫理的だ、というのがわしの言い分だけど、まあそれは政治的でないという点で問題ないと思うのだけど。