GIRLS+

2月19日(土)、声優ユニット・アイドルユニットが大集合するイベント「GIRLS+」に行ってまいりました。
浜松町にある文化放送ディアプラスの12F、メディアプラスホールにて。
当日券が若干数あるということで、10時前より並んで購入。
今回のイベントの目当ては私立恵比寿中学と、「うょち〜し」、アイドルカレッジアフィリア・サーガ・イーストゆいかおり
100〜200名くらいのキャパの会場は割といっぱいになった。アフィリア・サーガ・イーストのTシャツが数名いたのと、ホール後方に動きたいファンが荷物を端に置いて身軽な状態で待機しているのが目につく。あとは地味な格好のアイドル・声優ファンの面々。
オールスタンディングで右サイドのバーに寄りかかってメモ取りながら鑑賞するという嫌な見方をしていたのだが、やはりあまり興味の湧かないユニットのところだと退屈はしてしまう。そもそも入退場自由のイベントなので、ファンは自分の好きなユニットが出る時間以外はホール外でまったりしていればよいのだ。地下系のアイドルが集まるイベントは往々にしてそうなっているのだと思う。好きなユニットが出ている時に前に押し寄せ、出番が終わるとホール後方かホール外でまったり(あるいはすぐにアイドルが物販を始めたりもする)。そうした鑑賞の仕方。
さて、印象に残ったユニットに絞って感想を書こうと思う。


私立恵比寿中学
このイベント全体のMCも務めた女性声優によるユニット「びんびんgirls」の際には手拍子くらいだったファンが、「えび中」の曲ではPPPHやら、ひかえめにMIXを入れるファンやらで徐々に盛り上がりを見せる。私立恵比寿「中学」とは言え、小学生も在籍している。こういった少女達の歌唱のよさは、実際に現場で聞いてみるとはっきりする。それは「きつい高音を何とか出そうとするけど不安定」というよさである。それは何にもまして人間の弱さと強さの端的な表現である。
「えび中」では「えびぞりダイアモンド!!」をとにかく聞きたかった。歌詞はひたすらにまわりにこびる強烈なものだ。だがとにかく大事なのは「えびぞりダイアモンド わー!!」だ。この「わー!!」は可憐Girl's「Over The Future」における「わー!!」と同じようなものである(こちらも参照のことhttp://d.hatena.ne.jp/onoya/20090315/1237126654)。「わー!!」による開放感、解放感はハンパない。


「うょち〜し」
どう読むのかもわからないユニットだったが、そのまま「うよちーし」と読めばよかった。彼女たちが絡んでいるイベント「C調バトラーズ」の「C調」を逆にしたものだと思われる。そんなことはどうでもよくて、このユニットで注目すべきはどうしてもメンバーの一人「少女☆タコサム」(14歳設定)である(参照http://ameblo.jp/c-choo/)。4人の女性と男の娘(タコサム)一人によるこのユニット、どうしてもタコサムに目が行ってしまう。自己紹介は4人の女性→タコサムの順番、最後でしっかり落とす。「少女☆タコサムですっ、タコって呼んでください!」会場の初見のファンも、ここぞとばかり「タコー!!」と叫ぶ(自分含む)。
ところがこのタコサム、ただの色物ではなく、ちゃんとしたダンサーなので、歌唱中は女性4人に混ざってちょうどいい男性的なダンスのアクセントを入れてくれる。逆立ちをするような格好でスカートから太い足が現れ、ダイナミックな開脚を見せてくれたシーンは、(まあもはやアイドル的な受容のされ方ではないような感じけれども)魅力的なパフォーマンスだった。続く曲ではタコサムは早々と舞台袖へ引っ込んでしまうのだが、ラップ部分で突如登場し、頭を前後に激しく振りながらパワフルなラップを披露。思わずオーディエンスも頭を激しく振ってしまう。
他のグループと合同でのMCの場面でも、タコサムは目立つ。他のアイドルがしゃべっている時にも表情を作ったり、スカートをたくしあげるなど、ファンの意識を引こうと芸が細かい。ステージ上にたくさんいる中でも、腕を挙げれば太さで分かるという強さ。「これだけは手放せない必要なもの」というような質問の答えに「カミソリ」と答えたり、「うょち〜し」のグループ特有のルールとして「一緒に着替えられないメンバーがいる」というルールが紹介されるなど、基本タコサム依存のグループといった印象(なにしろ他のメンバーの顔が全く印象に残っていない)。だがタコサムだけではアイドルとして成立しない。これはこれでアイドルユニットとしてはありなのかもしれない。つーか、ともかくタコサムのステージもっと見たい。
ところで「GIRLS+」に男の娘がいていいのかという議論が起こったが、タコサムは「GIRLS」じゃなくて「+」のほうに当てはまるからOKということで収まった。


小桃音まい
いろいろなところで見ている、精力的にライブ活動をしているアイドル。ぼくが彼女を少し苦手なのは、「できすぎている」感じがするからだ。振り付けのひとつひとつが完全に身体でものにされていて、そこからはみ出す生身性をあまり感じないというか。しかし逆に言うと、完成度が高いという言い方もでき、ファンは安心して「まいにゃ」の世界に耽溺できるのかもしれない。左右に客が移動したり、前に押し寄せたりと、ファンは大盛り上がり。


アイドルカレッジ
あまり印象に残っていない。制服を着て、校則のようなものを唱和していた記憶がある。


アフィリア・サーガ・イースト
王立アフィリア魔法学院」というコスチュームテーマカフェから生まれたアイドルユニット。もともと名前は知っていたのだが、見るのは初めて。「聖ナル wktk ノ星」「ニーハイ・エゴイスト」「ワタシ☆LOVEな☆オトメ!」を歌う。魔法学院という設定、独特の衣装。


ゆいかおり
最後はハロプロとのゆかりも深いゆいかおり。ファンも多く、ホール後方でもヲタ芸を打っているファンもいたように思う。いかにも声優といった声で、ぼくはあまり慣れないけれども、バランスのいいユニットのようには思う。



全体の印象
一つ目はやはり、自己紹介の定型化。客とのやり取りも含めてひとつの型になっているアイドルが多い。
二つ目はいろいろな設定について。えび中は中学だし、アイドルカレッジも学校、アフィリアは魔法学院、「学校」という枠は制服という衣装の魅力と相まって、使いやすそうである。今回のライブ以外では、「旅と空」の設定の「ぱすぽ☆」や「会社」設定のオトメ☆コーポレーションも気になる。アイドルの世界に耽溺させる、また現実と離れた虚構空間に誘うために、こうした設定や、大きく言えば世界観を引っさげたアイドルの登場というのは当然のように思う。もちろんそれが制約となって活動の幅が狭まる恐れもあるが、アイドル乱立の時代の必然的な結果であろう。
三つ目。アイドルがグループであることの意味。このイベントのあとに秋葉原の石丸で「JK21」も見てきたが、とにかく、グループであることの面白さ、バランス。悪く言えば、一人では能力的に劣る者の寄せ集めとも言えてしまうグループアイドルだが、キャラクターの違うメンバーが醸すハーモニーや、ダンスのフォーメーション、それぞれの役割をこなすことで生まれる全体としての完成度は、ピンのアイドルではどうにもできないことである。身も蓋もない言い方をすれば、グループアイドルでは「ブスがいいアクセントになる」のである。


今週末は地方アイドルやら、オトメ☆コーポレーションあたりを見られたらと思う。